【初回が肝心】当院の初回根管治療(抜髄)へのこだわり
「神経を取る治療」こそ、成功率が左右する
根管治療(抜髄)は「歯の神経を取る治療」として広く知られていますが、実は初回でどれだけ正確かつ清潔に処置を行えるかが、歯の寿命を大きく左右します。
近年の研究では、適切に行われた初回根管治療の成功率は99%に達するという報告もあります。
当院では、この成功率に限りなく近づけるために、以下のような取り組みを行っています。
① ラバーダムによる無菌的な治療環境
抜髄時点では、根管の中はまだ感染していない状態です。
そのため、治療中に細菌を入れないこと(無菌的処置)が極めて重要になります。
当院では、ラバーダムを必ず使用し、唾液や口腔内の細菌が患部に侵入しないように治療を行います。
② マイクロスコープによる根管の精密探索
大臼歯などには、**肉眼では見つけにくい根管(第4根管など)**が存在します。
マイクロスコープの使用により、見落とされがちな細い根管も的確に探索・処置できるようになります。これにより再治療のリスクが大きく下がります。
③ 器具の破折を防ぐための「根管口の拡大」
根管内で使用する器具がスムーズに入り、破折を防ぐために、根管口を適切に拡大します。
これにより、器具が正確に根の先端まで到達しやすくなり、確実な治療が可能になります。
④ 根尖までの穿通と作業長の確定
器具が**根の先端(根尖)まで確実に到達すること(穿通)**は、感染物質の除去と正確な充填のために極めて重要です。
その後、正確な作業長(根の深さ)を確定し、根管の形を整えていきます。
⑤ 繰り返しの洗浄とPIPSによる根管内洗浄強化
EDTAや次亜塩素酸による洗浄を複数回繰り返し、細菌やバイオフィルムを徹底的に除去します。
さらに、超音波振動やEr:YAGレーザー(PIPS)を併用することで、薬液を根の奥までしっかり行き渡らせることができます。
⑥ 生体親和性に優れた根管充填
根管内を清掃した後は、バイオセラミックシーラーとバイオセラミック含有のガッタパーチャポイントを用いて、シングルポイント法による精密な根管充填を行います。
これにより、根管内部を隙間なく封鎖し、再感染を防ぎます。
⑦ できるだけ早い「築造」で再感染を防ぐ
根管充填が終わったあとは、なるべく早期に支台築造を行い、歯の内部が再び細菌にさらされないようにします。
根管治療の成功は、封鎖性とスピードが命です。
⑧ 可能であれば、なるべく「1回で」治療を終える
感染のない抜髄では、複数回にわたる処置がかえって感染リスクを高めることがあります。
そのため、可能な限り**1回の処置で完了する「ワンビジットエンド」**を目指しています。
まとめ:初回の治療こそ、一番丁寧に
抜髄は“神経を取る”だけの治療ではありません。
どれだけ無菌的に、正確に、早く、封鎖できるかが、歯の寿命を左右します。
当院では、初回の根管治療を「歯を長く使うための最も重要なステップ」と捉え、一つひとつの工程にこだわりを持って治療にあたっています。