歯根の長さと歯の寿命:遺伝、個人差、そして予防の重要性
人の体には個性があります。身長が高い人、低い人、顔が長い人、丸い人——体格や骨格がそれぞれ異なるように、歯の大きさや形、そして“根っこ”の長さも人によって違います。
歯根とは?
歯の根(歯根)は、歯を支える重要な部分です。歯ぐきより下、骨の中に埋まっている部分であり、歯が噛む力に耐えられるのも、この歯根がしっかりしているおかげです。歯根の長さは人それぞれ、そして民族差もあります
実は、日本人を含む東アジア人は、欧米人に比べて歯根がやや短い傾向があることが報告されています。特に上顎の臼歯(奥歯)や前歯でその傾向が見られます。
これは骨格や顎のサイズ、咬合様式の違いに由来すると考えられています。
また、女性は男性よりも歯根がやや短い傾向があるともいわれており、個人差・遺伝差の影響が色濃く出る部分です。
実際のケース:短い歯根と歯周病の進行
最近、当院で上顎の奥歯(第2大臼歯)を抜歯された患者様の歯根が、平均よりかなり短いことが判明しました。
ご本人も特に症状は感じていなかったのですが、進行した歯周病により、骨の支えを失い、残すことができなくなってしまったのです。
「根の長さが短い=すぐ抜ける」ではない
歯根が長い方が骨の中に深く埋まっているため、一般的には安定性が高くなります。
しかし、だからといって「歯根が短いから将来抜けてしまう」というわけではありません。
大切なのは後天的な要素です。
- プラーク(歯垢)コントロール
- 歯周病の予防
- 歯並びと咬合バランス
- 定期的な歯科受診による早期発見と対応
これらの要素が、歯の寿命を大きく左右します。
遺伝を知ることは、未来のケアに役立つ
今回の患者様は、自身の歯根が短いと知ったことで「これ以上歯を失いたくない」との思いから、予防治療をスタートされました。
また、お子様たちの歯根の長さや体質についても関心を寄せられていました。
自分の体質を知ることは、未来の健康への第一歩です。
特に歯や骨の特徴は見た目ではわかりにくいため、レントゲンや歯科用CTで確認することが有効です。
歯根が短い方でも安心して暮らすために
当院では、個々の歯の状態に応じた予防・管理プログラムをご提案しています。
必要に応じて、お子様の成長期から歯根の形成を見守るサポートも行っています。
「自分の歯は大丈夫かな?」
「親が歯を失っているけど、私はどうだろう?」
そんな疑問があれば、ぜひ一度ご相談ください。